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完成作を山田太一も見届けていた…『異人たち』は「人生に人を招き入れることを語る映画」

映画『異人たち』アンドリュー・ヘイ監督インタビュー

2024/04/19

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画

note

現代の価値観を知らない80年代の両親

 久々に両親に会えたアダムは、自分が大人だということも忘れて子供のように振る舞ったりもする。しかし、彼らの会話は楽しいものだけではない。とくに父は、ゲイであるアダムに対して残酷な発言もする。80年代に死んだ両親は、現代の価値観を知らないのだ。

「彼らが死んでから、世の中は大きく変わりました。そこを見せたいと思ったのです。それに、親というのは間違ったことをするものだということも。正しくないことを言ってしまったり、引っ掻き回したりするものです。人間とはそういうものだから。

©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 私は、親に対しても、子供に対しても、思いやりを持ちたいと思います。いつも正しいことはできないかもしれなくても、そこに愛があれば、やっていけると思います」

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山田太一は「最後まで見てくださったそうです」

 山田氏が亡くなられたのは、この映画が北米公開される3週間前。だが、完成作を見てもらうことはできた。

「ご家族からそう聞きました。その頃にはもうあまりお話ができなくなっていたようですが、映画は最後まで見てくださったそうです。

 彼がお亡くなりになって、とても悲しい。私自身は山田氏と一度も直接お話ししていないのですが、時空を超えてつながっているように感じます。彼が生み出した作品を通じて」