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「タダでいいから土地をあげたい」人に譲渡先を見つける“0円負動産マッチング”…「全額自腹のサポーター」のナゾ

「タダでいいから土地をあげたい」人に譲渡先を見つける“0円負動産マッチング”…「全額自腹のサポーター」のナゾ

“負動産”と「0円の土地」マッチング#2

2024/05/01
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 相続の準備をしている中で、自らの家に処分の困る土地があることを認識した経営コンサルタントの竹内謙礼氏は、解決策を探る中で「タダで土地をあげたい人」と「タダで土地が欲しい」人をマッチングするサービスの存在を知ることになった。

 サービスを利用して実際に自らの“負動産”を処分することになった竹内氏は、この「0円」のサービスがどうして運営されているのか、取材を申し込むことにした――。

竹内氏の家の「負動産」。購入時は1000万円の別荘地だったが、現在では雑木林で先も見えない状態に

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「私も負動産に悩まされた一人なんです」

 好奇心も手伝って、「みんなの0円物件」を運営している0円都市開発合同会社(旭川市)の代表社員、中村領さんに取材を申し込むと、取材に現れた中村さんはそう語り始めた。

「みんなの0円物件」ホームページ

 2018年に父親を亡くした中村さんは、北海道旭川市にある100坪の土地付きの店舗兼住宅を相続した。遠方に住んでいるため、この土地を使う予定がなく、地元の解体業者に解体費用を見積もってもらったところ、266万円という費用が提示された。

 放っておいても固定資産税が発生し、取り壊しても解体費用がかかる。中村さんは知らない間に「負動産」を背負うことになったのである。

 ところが、さらに事態は急転する。知人に相続した土地で悩んでいることを打ち明けたところ、ぜひ、その物件を見てみたいということになった。そのまま話はトントン拍子にまとまり、その知人が土地付きの店舗兼住宅を引き取ることになったのである。

 建物の内外装をキレイに修繕し、そこで生糀ジュースを製造販売する店舗を開業した。国道沿いの荒廃した建物で新しい事業が始まったことで、町の雰囲気が明るくなったという。

「負動産を背負わされた人と、負動産を引き取りたい人をマッチングすれば、全員がハッピーになると思ったんです。空き家の問題もなくなるし、解体予定だった建物を再利用することで、町の活性化にもつながると考えたんです」