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「勝者のメンタリティなんです」「“面白い”のハードルを絶対に下げるな」…担当編集者がシビれた、高橋留美子の“レジェンドたる所以”

高橋留美子・歴代担当編集者インタビュー #4

source : 週刊文春Webオリジナル

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お笑い大好き、高橋留美子の一押しギャグ

有藤 『うる星』連載時も仕事の合間を縫って読書をしたり、映画やお芝居を観に行ったりされていました。おそらく高橋先生はショートスリーパーなので、そんなに長く眠らなくても活動できるのかなと。今は『うる星』『めぞん』の同時連載と読み切りの執筆に追われていたあの頃と比べて少し時間に余裕ができているでしょうから、むしろこれまでで一番インプットを楽しんでいらっしゃるのではと思います。

日々増え続ける本を収めるべく、現邸宅の地下には書庫が/X(旧Twitter)「高橋留美子情報」より

―― ニュースや最新作も欠かさずチェックされていらっしゃるのもあって、年に一回発表される「高橋留美子劇場」では世相を映したワードが見受けられます(記事執筆時の最新作『理想の娘』では「パパ活」「ギャラ飲み」などが登場)。少し視点は異なりますが、『MAO』のヒロイン・黄葉菜花ちゃんは現代っ子らしく「スタンス」などのカタカナ語を使いますよね。

岡本 はい。大正時代を生きる摩緒には通じないのに、懲りずに(笑)。

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―― ああいった「令和を生きる10代の言葉」が、ごく自然に描かれているのも素敵だなと感じます。「大人が考えた女子中学生の喋り方」というノイズがなくて、黄場菜花という一人の少女の“生の声”としてクリアに聞こえてくるようで。

岡本 言語感覚でいうと、テレビの影響は大きいと思います。

森脇 先生、めっちゃテレビっ子なんですよ。仕事場でも映画を流すか、バラエティー番組をつけっぱなしで。それが現代的な言葉に対して全然無理をしていない要因かな。

―― 常に今の言葉を浴び続けていらっしゃるんですね。

森脇 そうですね。とくにお笑いがお好きなんです。最近の一押しギャグはあれだよね……トムブラウン?

岡本 はい、「ダメー!」です(笑)。

るーみっく男子、一番のモテ男はまさかの…

―― 最後は森脇さんに伺います。高橋先生のどこにシビれましたか?

森脇 コロナが流行する前、高橋先生のお宅にサンデーの新人漫画家さんを連れて行く「見学ツアー」をちょこちょこ開催していたんです。ある時、連載を控えている新人さんが「週刊連載をするうえで大事にしていることはなんですか?」と高橋先生に質問されたんです。2点教えてくださったのですが、その答えに僕はすごくシビれました。

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